妊娠中の過剰体重増加で子どもが肥満児に?肥満を防ぐ妊婦ごはん5つのポイント

元気な赤ちゃんを産むために、栄養をしっかりと摂取することはとても大切なこと。しかし、ついつい食べすぎてしまって、体重が増えすぎてしまう妊婦さんも多いようです。

妊娠中の体重増加が過剰になることで、

・母体への悪影響…妊娠高血圧症候群、難産、流産のリスクが高まる。
・子どもへの悪影響…巨大児として生まれ、子どもが過体重や肥満になりやすくなる。

など、母子ともに大きなリスクを背負うことになります。

子どもの未来は妊娠中から始まっています。元気で健康な赤ちゃんを産み、子どもの健やかな成長を願うのであれば、適切な体重管理はとても重要なことなのです。

このページでは、「妊娠中の過剰な体重増加による悪影響のこと」「適切な体重管理のポイント」「肥満を防ぐための食事のコツ」など詳しくお伝えしていきます。

妊娠中の過剰な体重増加による悪影響とは?

妊娠中の過剰な体重増加による悪影響とは?

<<子どもへの悪影響>>

子どもが肥満児になるリスクが高まる!

米国オレゴン、ワシントン州、ハワイのカイザーパーマネンテの登録者である24,000名の母親とその子どもを対象とした大規模研究があります。1995~2003年の間に適正体重で産まれた子どもを対象に、2~10年の追跡調査を行い、子どもの幼児期の肥満リスクを検討しました。

結果は、妊娠中の過剰な体重増加や血糖値の上昇により、子どもの肥満リスクを上昇する「巨大児の増加」との関連が明らかになりました。

・血糖値の高い母親から産まれた子どもは、過体重や肥満となるリスクが30%以上上昇。
・妊娠糖尿病を患った妊婦において、子どもの過体重や肥満のリスクが高まった。
・妊娠中の体重増加が約18.1kg以上の場合、過体重や肥満となるリスクは少なくとも15%上昇した。

などの報告がなされています。

生活習慣病を発症するリスクが上がる

最近の報告では”胎児期の環境が成長後の健康やさまざまな病気の発症に影響する”というDOHaD(Developmrntal Origins of Health and Disease)という考え方が提唱されています。

つまり、生まれたときに大きすぎた場合(逆に小さすぎた場合も)には、その子が成長した後に、「肥満」や「糖尿病」などの生活習慣病を発症するリスクが上がってしまうことが報告されています。

<<ママの身体への悪影響>>

妊娠高血圧症候群になりやすい

妊娠中の過剰な体重増加によって血圧が上昇し、妊娠高血圧症候群を発症しやすなると考えられています。症状がひどくなると胎盤機能が低下し、胎児の発育不良や酸素欠乏を招いたり、重症になると母子の生命に影響することもあります。

妊娠糖尿病になりやすい

妊娠糖尿病というのは、妊娠前は特に問題なかったのが、妊娠をきっかけに糖尿病になるケースのことをいいます。妊娠糖尿病になると、赤ちゃんが巨大児で生まれたり、羊水過多、早産、難産などを招くリスクが高くなります。

流産率が高くなる

BMIが25以上の女性は25未満の女性と比べ、流産率が1.24倍まで上がってしまうことが報告されています。

難産になりやすい

ママの身体に脂肪がつき過ぎて産道が狭くなるために、出産のリスクが高まることになります。娩出までに時間がかかる、分娩時に出血が止まりにくくなる、産道に裂傷を生じ易くなる、予定日を2週間過ぎても生まれない過期産になる、帝王切開の可能性が高くなる、などなども。

まとめると、妊娠中の過剰な体重増加によって、赤ちゃんが巨大児と生まれ、将来、生活習慣病を発症するリスクが上がる。母体は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になりやすく、帝王切開などの出産リスクが上がる。ということで、体重の増えすぎにはいろいろと悪影響が強いようです。

ちなみに、近年、痩せすぎの妊婦さんも多く、低出生体重児として生まれる赤ちゃんも増えています。増えすぎても増えなさすぎても、母子ともにさまざまなリスクを抱えるので要注意です。

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肥満度(BMI)と推奨体重増加量を意識!適切な体重管理のポイント

肥満度(BMI)と推奨体重増加量を意識!適切な体重管理のポイント

まず最初に知っておきたい肥満度(BMI)について

大まかではありますが、妊娠前の体格別に、妊娠中の適正な体重増加量が定められています。体格は肥満度(BMI)によって定義されます。

肥満度(BMI)は「Body Mass Index(ボディ・マス指数)」の略で、肥満や低体重(やせ)の判定に用いられるものです。以下の式で算出されます。

[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

(例)身長155cm・体重50kgの場合、BMI=50/1.55×1.55=20.8となります。

次の計算サイトで簡単に算出できるので、良かったらお試しください。

高精度計算サイト

身長と体重から肥満度を示すBMIと適正体重を計算します。…

日本肥満学会の判定基準は次の通り。

BMI値判定
18.5未満低体重(痩せ)
18.5以上25未満普通体重
25以上肥満

BMIが25~30未満であれば「肥満」に分類されることになります。

出産までにどのくらいの体重増加が望ましい?

厚生労働省は妊娠中の推奨体重増加量として、妊娠前の体格別に以下のように定めています。

BMI体格区分推奨体重増加量(臨月時)
18.5未満低体重(やせ)9~12kg
18.5以上25未満普通体重7~12kg
25.0以上肥満個別対応

※肥満の場合は、おおよそ5kgが目安。著しく超える場合は、他のリスク等を考慮しながらの個別対応となります。主治医や助産師からの指導を受けましょう。

食事で体重をコントロール!肥満を防ぐ妊婦ごはん3つのポイント

食事で体重をコントロール!肥満を防ぐ妊婦ごはん3つのポイント

適切な体重増加、体重コントロールの基本は食事です。肥満を防ぐための妊婦ごはんのポイントをご紹介します。

1.基本はバランスの良い食事にすること

バランスの良い食事に整えることは、基本中の基本になってきます。過剰に体重増加してしまう妊婦さんの場合、高カロリーのものを食べすぎるなど、食事内容に偏りがでるケースも多いです。

野菜たっぷりのバランスの良い食事にすることで、一食当たりのカロリーを抑えることができるでしょう。

どんな食事がバランスの良い食事内容なのか?については<妊産婦のためのバランスガイド>が参考になるでしょう。

1.バランスの良い食事に!

ポイントは下記の5つのグループを組み合わせることです。

主食ごはん・パン・麺などの炭水化物。エネルギー源となる糖質を多く含んでいる。
副菜野菜、豆類、きのこ、いも、海藻など。からだの調子を整えてくれるビタミン、ミネラル、食物繊維類を多く含んでいる。
主菜魚、肉、卵、大豆料理などのメインのおかず。筋肉や血液の基となるたんぱく質を多く含んでいる。
乳製品牛乳、ヨーグルト、チーズなど。カルシウムを多く含んでいる。
果物りんご、みかんなどの果実、果実的な野菜など。ビタミンC、カリウム類を多く含んでいる。

食材の中には、赤ちゃんに悪影響を及ぼすものもあります。次の記事を参考に、特にリスクが高いものは、妊娠中は食べない・飲まないようにしましょう。

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2.よく噛んで食べること

満腹中枢が刺激されるまでに、約15~20分かかるといわれています。あまり噛まずに早く食べることで、満腹感を感じにくく食べすぎてしまい、結果、過剰な体重増加につながります。

食事は一口につき30~50回くらい噛むことを心がけましょう。よく噛んでゆっくり食べていれば、たくさん食べなくても満腹感を感じられるようになるので、食べすぎ防止になります。

伝統的に日本には箸置きがあります。本来は一口食べるごとに箸を置き、よく噛み、時間をかけて料理を味わい、感謝していただくのが日本ならではの食文化なのです。

よく噛むことで唾液の分泌量が増えます。消化・吸収も助けてくれますので、胃腸への負担も軽減できます。唾液には免疫物質も多く含まれていますので、免疫を増強し、病気や虫歯を予防する作用もあります。農薬や添加物、発がん性物質などの有害物質も、よく噛み唾液がたくさん出ることで口の中で分解されやすくなります。

よく噛むことは食べすぎ防止になるだけでなく、たくさんの有益な作用が期待できるのです。

3.低栄養素・高カロリーの食べ物は控えめに!

低栄養素・高カロリーの食べ物と言えば、例えば、ケーキなどの甘いお菓子類や、コーラなどの清涼飲料水です。これらには栄養素はほとんど含まれていませんが、高カロリーで過剰な体重増加の原因の1つになります。糖分や脂肪分の摂りすぎには要注意です。

また、外食は低栄養素・高カロリーになりやすいです。外食、ファーストフード、コンビニ食、市販のお惣菜などは、どうしても脂肪分や塩分が多く、カロリーが高いことが問題です。

外食ではなく基本は手作りの和食。野菜たっぷりの和食を手作りすることで、栄養バランスの良い食事を作りやすくなります。お塩・醤油・味噌は控えめにして、「お酢やレモンなどの酸味」「出汁などの旨味」「香辛料」「薬味」などを、塩分の代わりに使うと良いでしょう。母子の健康、家族の健康のためにも、手作り料理を心がけてみてはいかがでしょうか。

 

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赤ちゃんのために食事で適切な体重管理をしましょう

赤ちゃんのために食事で適切な体重管理をしましょう

ここで説明したように、妊娠中の過剰な体重増加はデメリットだらけです。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になりやすく流産のリスクが上がり、難産や帝王切開などの出産リスクも上がります。赤ちゃんが巨大児と生まれ、将来、生活習慣病を発症するリスクも上がります。

デメリットしかないと言っても過言ではありません。

1.基本はバランスの良い食事にすること
2.よく噛んで食べること
3.低栄養素・高カロリーの食べ物は控えめに!

を意識し、食事コントロールによって、適切な体重管理をしていきましょう。「子どもの未来は妊娠中から始まっている」ということを意識していただけたらと思います。

妊娠中に「より多くの摂取が必要な栄養素」があります。葉酸や鉄、カルシウムやビタミン等です。サプリメントを上手に活用しながら、必要な栄養素はしっかりと摂取することも心がけましょう。妊娠中に重要な栄養素については、次の記事が参考になるでしょう。

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