女性はもともと貧血になりやすい傾向にありますが、妊娠中はさらに貧血リスクが高まります。
妊婦さんが貧血になることで、母体にも胎児にも多くの悪影響が心配されます。重度の貧血で「胎児死亡・低出生体重児・未熟児の頻度が高くなる」という報告もあり、妊娠中の貧血対策はとても大切なことだと言えるでしょう。
妊娠貧血を予防&改善のためには、毎日の食事がポイントです。
このページでは、妊娠中の貧血についての基礎知識をお伝えしつつ、貧血予防&改善のため妊婦ごはんを大解剖していきます。
妊娠中は貧血リスクアップ?ママと赤ちゃんに大きな悪影響が…
妊娠中は貧血リスクがアップします!
妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素や栄養を運ぶために、母体の血液量は増えます。しかし、赤血球はそれほど増えず水分が増えるため、血液が薄まった状態に。鉄分はおなかの赤ちゃんへ優先的に運ばれますから、母体の鉄分が不足して鉄欠乏性貧血になりやすくなるのです。
特に妊婦さんが貧血になりやすいのは、胎児が大きくなり全体の血液量が増える妊娠中期から後期にかけてです。
妊娠貧血になると、ママと赤ちゃんにどんな悪影響をもたらすのか
一般的によくある貧血症状は次の通りです。
妊娠貧血の状態で出産になると、陣痛が弱まったり、出産時の出血量が増えるリスクが高まります。産後の体調回復が遅くなったり、母乳が出にくくなることも。
妊娠中に強い貧血になると、赤ちゃんに十分な酸素を送れなくなります。胎児死亡、低出生体重児、未熟児の頻度が高くなるとの報告があります。
貧血の予防&改善は、鉄分の多い食事がポイント
血液はママの身体に取り入れた食べ物・飲み物から作られていますので、毎日の食事で鉄分を摂るように心がけましょう。今は貧血でなくとも、胎児が成長するとともに貧血になる可能性もありますから、常に食事による鉄分摂取は意識する必要があります。
妊娠貧血を予防&改善するための妊婦ごはん5つのポイント
【1】1日3食、バランスよく食べること
・主食(ご飯・パン・麺など)
・主菜(肉・魚・卵・大豆料理など)
・副菜(野菜・海藻・いも・きのこなど)
・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
・果物(りんご・みかんなど)
特定の食品に偏らず、1日3食でいろいろな食品から摂ることが大切。毎食とは言いませんが、なるべくバランスの整った食事をとりましょう。
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【2】鉄分の多い食材を積極的に取り入れること
鉄分を含む食材として一般的に知られているのは「ほうれん草」や「レバー」でしょう。他にも、牡蠣やあさり、赤身の多い肉、カツオなどの血合いの多い魚、納豆や豆腐などの大豆食品、緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類などにも比較的多く含まれています。
このような鉄分の多い食材を知り、積極的に食事に取り入れるようにしましょう。
【3】「動物性」「植物性」の両方の鉄分をバランスよく!
鉄分は大まかに、動物性のヘム鉄・植物性の非ヘム鉄の2種類に分類でき、次のような特徴があります。
・15~25%と吸収率が高い
・2~5%と吸収率が低い
植物性の鉄分は、動物性のたんぱく質と一緒にとると吸収が良くなります。ヘム鉄の食材と、非ヘム鉄の食材の両方をバランスよく食べるようにしましょう。
【4】鉄分の吸収率を高める食材を一緒に食べること
鉄分はビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が高まります。ビタミンCをたくさん含んでいる野菜や果物も組み合わせていきましょう。フルーツジュースなどもオススメ。
たんぱく質にも鉄分の吸収を高める働きがあるので、鉄分とたんぱく質の両方含む食品(赤味の肉、貝類、大豆食品など)を食べるのも効率的です。
鉄分の特性を知り、食材を上手に組み合わせて吸収率を高めることも大切なポイントです。
【5】鉄分の吸収率を下げる食品に注意すること
鉄分の吸収率を下げてしまう食品もあります。タンニンを含む緑茶・コーヒー・紅茶は鉄分の吸収率を低くしますので、食後1~2時間は控えましょう。食物繊維の摂りすぎも、鉄の吸収率を下げるので気を付けたいところ。
妊婦さんにオススメ!鉄分を多く含む食材をチェック!
あくまで一例ですが、鉄分の多い食べ物・食材をご紹介します。これらの食材を上手に組み合わせながら鉄分を十分に摂り、貧血対策をしていきましょう。
食べ物・食材 | 1食当たりの目安量 | 鉄分量(mg) |
---|---|---|
豚レバー | 60g | 7.8mg |
鶏レバー | 60g | 5.4mg |
牛レバー | 60g | 2.4mg |
牛ヒレ肉 | 100g | 2.5mg |
牛もも | 100g | 1.4mg |
豚ヒレ肉 | 100g | 1.1mg |
牡蠣 | 60g(むき身5個) | 1.3mg |
あさりむき身 | 50g | 1.9mg |
卵 | 50g(中1個) | 0.9mg |
カツオ | 80g | 1.5mg |
マイワシ | 80g | 1.7mg |
小松菜 | 70g(1/4束) | 2.0mg |
ほうれん草 | 100g(1/3束) | 2.0mg |
菜の花 | 100g(1/2束) | 2.9mg |
木綿豆腐 | 150g(1/2丁) | 1.4mg |
厚揚げ | 140g(中1枚) | 3.6mg |
がんもどき | 80g(中1個) | 2.9mg |
納豆 | 50g(小1パック) | 1.7mg |
枝豆 | 50g | 1.4㎎ |
乾燥ヒジキ | 5g | 2.9mg |
※妊娠中はレバーのビタミンAに要注意!
鉄分豊富な食材の代表格がレバーですが、レバーにはビタミンAも多く含まれています。妊婦さんのビタミンAの過剰摂取は「胎児の奇形」を起こす可能性が指摘されているので、食べすぎには要注意です。
※ヒジキにはヒ素も含まれます。こちらも食べ過ぎに注意です。
レバーもひじきも栄養豊富で、妊娠中にオススメできる食材です。ビタミンAやヒ素の心配もありますが、「毎日同じものをたくさん食べる」のような偏った食べ方をしなければ食べても問題ありません。適度に妊婦ごはんに取り入れていきましょう。
妊娠中に大切な栄養素は鉄分意外にも…
鉄分は「妊娠中に不足しがち、かつ、重要度の高い栄養素」ですから、意識して積極的に摂取することが大切です。同様に、葉酸やカルシウム、各種ビタミンの摂取も大切。
特に葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低下させるために必須であり、葉酸サプリの摂取が推奨されています。葉酸・鉄分・カルシウムの働きを助けてくれるビタミン類も必須でしょう。
妊婦さんは食事面で意識すべきことが多いため、「ちゃんと栄養が摂れてるか心配…」のようにストレスや不安を感じてしまう方も多いようです。
そんなママにオススメの栄養素不足への対策方法が、鉄・葉酸・鉄分・カルシウムなどを全部含むサプリメントを摂取することです。1つのサプリだけで済むので、簡単で便利。そして何より栄養素がしっかり摂れて安心です。
重要度の高い栄養素のことやサプリのことは、次の記事で詳しく書いています。良かったらチェックしてくださいね。
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※逆に、妊娠中は避けたほうが良い食べ物・飲み物もあります。次の記事が参考になるでしょう。
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鉄分の多い食事で貧血対策をしていきましょう
以上、妊娠中の貧血についての基礎知識や、貧血対策のための妊婦ごはんのポイント、鉄分の多い食材のことなどお伝えしました。
妊娠貧血の予防&改善ためには、毎日の食事がポイントです。ぜひ、鉄分の多い食材をしっかり取り入れて、貧血対策をしていきましょう。
・動物性と植物性の鉄分の両方をとること。
・鉄分の吸収率を高める食材を一緒にとること。
・鉄分の吸収率を下げる食品に注意すること。
なども意識したいポイントです。さらに、鉄分を含むサプリメントも摂取すると、より安心のマタニティライフをおくれると思います。ご参考になれば幸いです。