「妊娠中だけどノドグロ(のどぐろ)のお寿司を食べてしまいました。水銀が心配だけど大丈夫?」
のように、ノドグロの水銀量や、お寿司やお刺身などの「生食」という観点で『ノドグロを食べても大丈夫なのか?』心配されている妊婦さんも多いようです。
結論から言えば、妊娠中にノドグロを食べて問題はありません。
お寿司屋やお刺身で食べても問題はありませんが、注意して欲しいこともあります。
今回は、妊娠中に安心してノドグロを食べれるよう、
「水銀量はどのくらいか?」
「お寿司やお刺身でも大丈夫か?」
「寄生虫の心配はないのか?」
「オススメの食べ方は?」
など、妊婦さんとノドグロをテーマにお話ししていきます。
そもそも「ノドグロ(のどぐろ)」はどんな魚?
妊娠中にノドグロを食べて良いのかどうかを考える上で、まずはノドグロがどんな魚なのかを知っておきましょう。
ノドグロといえば高級魚として知られています。脂がたっぷりのっていて旨味濃厚な白身魚であり、「白身のトロ」といわれています。
ノドグロの産地は主に日本海沿岸。特に有名なのは石川県です。
旬は、産地によって異なります。
島根県では8~12月。
金沢県では11~2月。
「ノドグロ」という名称で知られていますが、正式名称は「アカムツ」です。
ノドグロの名称の由来は「喉黒」にあります。
意味はストレートに「喉が黒いから」。実際にノドグロの口を開くと、色が黒いことを確認できます。
そんなノドグロについて、さらに深掘りしていきます。
ノドグロの水銀量は多い?少ない?妊娠中に食べても大丈夫?
一般的に「妊娠中は魚の水銀に気をつけてください」と言われますが、それは、魚に含まれるメチル水銀が胎児に悪影響を及ぼすからです。
魚と水銀のことは次の記事で解説しています。
良かったらご一読下さい。
妊娠をキッカケに「赤ちゃんのために食事に気を付けないと!」と、食事に注意を払うようになる人はとても多いです。妊婦さんが食事関連で気を付けるべきことはたくさんありますが、その中の1つに「魚介類」があります。ポイントは「水銀」。[…]
実は、ノドグロの水銀量は低い数値であり、「特に注意が必要でない魚」と同レベルです。「特に注意が必要でない魚」の水銀量と比較してご紹介します。
総水銀 μg/g | メチル水銀 μg/g | |
アカムツ(ノドグロ) | 0.187 | 0.171 |
キハダ | 0.179 | 0.177 |
ビンナガ | 0.237 | 0.164 |
メジマグロ | 0.158 | 0.185 |
ツナ缶 | 0.114 | 0.109 |
サケ(鮭) | 0.027 | |
アジ(鯵) | 0.040 | |
サバ(鯖) | 0.104 | 0.073 |
イワシ(鰯) | 0.018 | |
サンマ(秋刀魚) | 0.058 | |
タイ類(鯛) | 0.093 | 0.067 |
ブリ(鰤) | 0.153 | 0.197 |
カツオ(鰹) | 0.154 |
このようにノドグロの水銀量は低いです。
もちろんノドグロばかり食べるのは良くありませんが、妊娠中でも水銀量を気にせず食べることができる魚です。
ノドグロは滋養の魚。妊娠中には食べて欲しい食べ物です
まず、ノドグロは必須脂肪酸である
EPA(エイコサペンタエン酸)
を豊富に含んでいます。
DHAやEPAは、私たちの脳や神経細胞に多く含まれ、脳機能の維持と深く関わっています。
胎児の脳の成長においても、とても重要な栄養素なんです。
ほかにも、以下のような栄養素を含んでいます。
・ビタミンB2…多くの栄養素の代謝に関わり補酵素として働く。皮膚や粘膜を保護する働きも。
・ビタミンA…免疫力を正常に保つ。
・カリウム…体内の塩分を外に排出してくれる。
・ナイアシン…500種以上の酵素の補酵素として働く。
・カルシウム…骨や歯を丈夫にする栄養素。
実はこのノドグロ、その昔「滋養の魚」として病人の回復のために食べられた、という説もあります。そのくらい栄養豊富な魚だということ。
また、ノドグロは他の魚と比べて低カロリー&低糖質なのも魅力。
例えば…
・さば:247kcal
・ぶり:257kcal
(可食部100gのカロリー)
これに対してノドグロは193kcal。脂がのっているので高カロリーに思われがちですが、他の魚より低カロリーなんです。糖質も少ないです。
ノドグロは寄生虫の心配あり?お寿司/お刺身など「生食」でも大丈夫?
一般的に、
「妊娠中は食中毒になりやすい」
「生モノは控えめに」
と注意喚起されています。
でも「生モノは絶対に食べてはいけない!」ということではありません。
厚生労働省の資料でも<魚と水銀量>のことが書かれていますが、実は、お刺身の画像が掲載されています。
このことからも「お寿司やお刺身などの生食でも問題はない」と考えられます。
ただ、生食で心配になるのが寄生虫です。
残念ながらノドグロにも寄生虫が潜んでいることがあります。
ノドグロに潜む寄生虫として、妊婦さんが気を付けるべきなのが「アニサキス」です。
アニサキスを食べると、激しい腹痛や嘔吐、下痢などの食中毒症状になるため要注意。
一度冷凍処理したノドグロであれば、万が一アニサキスが混入していたとしても死滅するので、食べても問題ありません。一度も冷凍していないノドグロの場合は、少なからずアニサキスの心配があります。
恐らくノドグロを食べるシーンはお寿司屋さんなど外食かと思いますが、多くのお店では寄生虫トラブルを防ぐため冷凍処理をしていることが多いです。
ですので、まず注文する前に、冷凍処理の有無を確認することをオススメします。冷凍処理してあるなら、あるていど安心して食べることができるでしょう。
一度も冷凍しておらず、かつ、アニサキスが混入していたとしても、プロの料理人であれば、アニサキスに気付いて取り除いてくれるはずです。
アニサキスは目視でも確認できる大きさなので、信頼できるお店で食べる分には、お刺身やお寿司でも大丈夫だと思います。(何かあった場合には自己責任となりますが・・・)
加熱することで予防できるので、基本的には火を通した調理法がオススメです。
ノドグロは煮付け、焼き魚、ブイヤベース、あら汁、アクアパッツァなど加熱料理も美味しいですよ。
妊婦さんにオススメ!人気のノドグロの食べ方『#妊婦ごはん』
ノドグロの煮付け
濃厚で脂がのっているノドグロを煮付けにすると、しっかりとした味わいに仕上がります。濃いめに味を付けても大丈夫。
ノドグロのお刺身・お寿司
脂がのった「白身のトロ」と呼ばれるノドグロは、お刺身やお寿司にオススメ。濃厚な旨味を堪能できつつも、しつこくなくサッパリしています。
ノドグロの塩焼き
ノドグロを塩焼きにすると、旨味が凝縮され、とっても美味な味わいになります。ふんわりとした食感、脂の甘味と香ばしさを楽しめます。
まとめ~妊婦さんも安心!ノドグロを美味しく食べましょう
以上、妊婦さんとノドグロをテーマに解説してきました。
まとめると・・・
・「白身のトロ」といわれる高級魚。
・水銀量は少ない。妊娠中でも安心して食べられる。
・「滋養の魚」栄養が豊富なのでぜひ食べて欲しい。
・寄生虫(アニサキス)の心配はゼロではない。
・お寿司/お刺身で食べるなら新鮮なものを信頼できるお店で。
・飲食店はほぼ冷凍もの。寄生虫のリスクは低い。
・加熱調理で予防できる。加熱調理が一番安心。
・煮つけや塩焼きも超オススメの食べ方。
・生食もOKだけど、あくまで自己責任ということを忘れずに。
などなど。
ノドグロは水銀量が少ない魚、「滋養の魚」とも呼ばれ栄養満点、妊娠中にはとってもオススメです。
お寿司/お刺身で食べる場合は、
・新鮮なもの
・信頼できるお店
という条件が揃っていれば、あるていどは安心です。
家庭で食べる場合は、煮つけや塩焼きなど加熱調理を選びましょう。
ぜひ妊婦ごはんの食材の1つとして、ノドグロを食べていただけたらと思います。