「妊娠中だけど、寿司屋のネギトロ軍艦が食べたい!食べても大丈夫?」
「マグロは水銀が含まれるから控えめにって聞いたけど、ネギトロも良くない?」
「ネギトロは生魚だから食べない方が良い?」
このように妊娠中のネギトロの摂取について、疑問をお持ちの妊婦さんも多いようです。
妊婦さんがネギトロを食べると、どのような影響があるのでしょうか?
この記事では、
・ネギトロの水銀量はどのくらいなのか?
・ネギトロは生ものだけど妊婦さんは食べてOKなのか?
・食中毒のリスクは?
・妊娠中にネギトロを食べる時の注意点
などなど、妊婦さんとネギトロをテーマに、わかりやすく解説していきます。
そもそもネギトロとはどんな食べ物?
ネギトロとは本来は、マグロを一本丸々買っている大きな業者が、骨の隙間に残った赤身(中落ち)や、皮の裏の身をこそげ落としたもの(すき身)をいいます。
身を骨の周りから削り取ることを「ねぎ取る」と呼ぶことから、「ネギトロ」という名称になったそうです。
(※ネギトロの元祖である寿司店の店主が、よく通っていた店名「むぎとろ」から名付けたという説も)
少なくとも、マグロの「トロ」と野菜の「ネギ」の組み合わせではありません。
一般的なネギトロは、本物のネギトロではない?
一般的にスーパーや回転寿司などで提供されているようなネギトロ(「まぐろたたき」と表記しているお店もあり)は、マグロの切り身を作る際にでる残り身に、魚油や植物油などの油脂や調味料、着色料などを加えペースト状に加工したものです。
油脂は、価格の安い鰯(イワシ)などから抽出した魚油や、ショートニングが使用されることが多いようです。
業者によっては豚肉等の動物性油脂が使われることも・・・。
また後述しますが、このように一般的なネギトロは添加物がたくさん含まれているので、妊娠中は食べる量を控えめした方が良いかもしれません。
ネギトロの水銀量は妊婦さんも安心?マグロの種類を知ることが重要!
「妊娠中は魚の水銀に気をつけましょう」と言われるのは、魚に含まれるメチル水銀が胎児に悪影響を及ぼすからです。
特に、マグロは水銀量が多い魚と言われているので、ネギトロの水銀も気になるかもしれません。
ただ、一言でマグロといっても、マグロにはたくさんの種類があり、含まれる水銀の量も異なります。
ネギトロの水銀量について考えるときに、「どの種類のマグロが使用されているのか?」を知ることが大切です。
ネギトロには、次の6つのマグロが使われている可能性が高いです。
<ちょっと良い店>
・クロマグロ(本マグロ)
・ミナミマグロ(インドマグロ)
<スーパーや回転寿司>
・メバチマグロ
・キハダマグロ
・ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)
・メジマグロ
それぞれの水銀量について確認しましょう。
総水銀 μg/g | メチル水銀 μg/g | |
クロマグロ | 0.723 | 0.542 |
ミナミマグロ | 0.498 | 0.386 |
メバチマグロ | 0.733 | 0.549 |
キハダ | 0.179 | 0.177 |
ビンチョウマグロ | 0.237 | 0.164 |
メジマグロ | 0.158 | 0.185 |
水銀量の注意が必要な3つのマグロ
上の表を見ると、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロは、他の3種のマグロより水銀量が高く、次のように食べる量の制限が設定されています。
(1週間当たり80g程度)
(1週間当たり160g程度)
これらのマグロがネギトロの原料になっている場合には、食べる量に注意しましょう。
※80gは、日本人が1食に食べる魚の平均量。刺身1人前、または切り身1切れ程度です。
水銀量の注意が必要でない3つのマグロ
・ビンチョウマグロ
・メジマグロ
の水銀量はわりと低い数値であり、厚生労働省の資料では「特に注意が必要でない魚」として紹介されています。
これらのマグロがネギトロの原料になっている場合は、特に食べる量に注意は必要ないでしょう。
もちろん同じ食材ばかり食べ過ぎるのは良くありません。
他の食品もバランス良く食べるようにすれば、水銀量を気にせず食べても問題ないということです。
まとめると・・・
・ミナミマグロ(インドマグロ)
・メバチマグロ
のネギトロは水銀が多く含まれるので食べる量に注意が必要!
・ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)
・メジマグロ
のネギトロは水銀が少ないので、ある程度食べても大丈夫!
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ネギトロは生モノ・・・妊娠中の生食による食中毒リスクについて
ネギトロには生のマグロが使われているので、生食による食中毒リスクを心配される妊婦さんも多いでしょう。
妊娠中は消化器系の動きが低下&免疫力が低下するため、普段であれば問題のない刺身や寿司などの生食でも食中毒になるリスクが高くなります。
妊婦さんが食中毒になると、飲める薬が限られるため、下痢や嘔吐がひどくなることで胎児に悪影響がでる可能性があります。
そのため一般的に「妊娠中は生モノは控えめに」とされています。
しかし、厚生労働省の資料『これからママになるあなたへ』にて魚と水銀のことが書かれていますが、ミナミマグロやマカジキのお刺身の画像が掲載されているので、お刺身など生で食べても問題ないと考えられます。
つまり、妊娠中にネギトロを食べても大丈夫ということ。
ただ、妊娠中は食中毒リスクが高まるのは事実ですから、
・信頼できるお店で食べること
・あくまで自己責任ということを忘れずに!
などなど注意して食べるようにしましょう。
ネギトロは食べ過ぎ注意!自作するのが一番安心?
前述したように、スーパーや安い回転寿司屋さんのネギトロは、本来のネギトロではありません。
マグロの切り身を作る際にでる残り身に、魚油・植物油・ショートニングなどの油脂(場合によっては動物性油脂)や、調味料、着色料、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤などを加えてペースト状にしたものです。
スーパーでネギトロを買う場合は、一度、食品表示をチェックしてみることをオススメします。
たくさんの添加物が含まれていることが分かるでしょう。
ですので、妊娠中に限らず、非妊娠時でも、リーズナブルな添加物のいっぱい入っているネギトロは食べ過ぎ注意です。
ネギトロは簡単に作れる!どうせなら自作するのが一番安心♪
ネギトロ的なものではありますが、新鮮なマグロを購入して自作するのが一番安心だと言えます。
・ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)
・メジマグロ
など、水銀量の少ないマグロを購入し、包丁で細かく刻み(たたき)、マヨネーズやうまみ調味料を加えるだけで完成します。とっても簡単に作れますので、ぜひ試してみて下さいね。
次の動画が参考になるでしょう。
妊婦さんとネギトロ、気になる疑問Q&A
スーパーでネギトロを購入するとき、食品表示を確認すると「マンダイ」と記載されていることがあります。マンダイは「赤マンボウ」のこと。赤マンボウは味や色合いがマグロに似ていることから、マグロの代用品として使用されることも多いようです。
赤マンボウの水銀量は「特に注意が必要でない魚」に分類される量ですし、何か問題のある魚でもありませんから、安心して食べて大丈夫です。
まとめ:妊娠中、注意点を守ってネギトロを美味しく食べましょう!
以上、妊婦さんとネギトロをテーマに解説しました。
赤ちゃんのことを考えると、妊娠中は「食」に関してどうしても過敏になりがちですが、あまり気にしすぎるのもストレスになって良くありません。
ネギトロに使われるマグロの種類によって水銀量が異なりますので、水銀の摂取量に注意しつつ、バランスの良い食事を心掛けたうえで、ネギトロを美味しくいただきましょう。
スーパーや回転寿司のネギトロは添加物が多く含まれますから、「ネギトロをたくさん食べたい!」という妊婦さんは、ネギトロを自作してしまった方が安心かもしれません。ぜひ一度挑戦してみてくださいね。